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Knebel, K.*; Jokiniemi, J.*; Bottomley, D.
Journal of Nuclear Science and Technology, 56(9-10), p.772 - 789, 2019/09
被引用回数:7 パーセンタイル:58.58(Nuclear Science & Technology)核分裂生成物(FP)付着物の再蒸発現象は、冷却水喪失等のシビアアクシデントにおける遅発のFP放出可能性を示すものとして認識された。その後の試験により、本現象は原子炉破損時に生じ得ることから、格納容器及び環境放出におけるソースタームとして重要であることが分かった。本論文では、まずはじめに、PHEBUS FPと関連プログラムから得られた一次冷却系での揮発性及び準揮発性FPの移行における再蒸発メカニズムについてレビューする。次に、揮発性及び準揮発性FP(I, Mo, Ru)及び構造材料(Ag, B)の高温化学を評価するための要素試験、及びソースタームに実効的に影響を与える雰囲気の影響について述べる。最後に、長期に亘るFP化学についてのさらなる知見を与え得る事故炉におけるCs分析の結果をレビューする。レビューの結果は表と模式図により示される。この蓄積された知見と経験は、廃炉と環境回復における汚染の低減、及びSA解析コードの改良と原子力安全の向上への適用にとって重要である。
Chiera, N. M.; 佐藤 哲也; 富塚 知博; 浅井 雅人; 伊藤 由太; 白井 香里*; 鈴木 颯人; 床井 健運; 豊嶋 厚史; 塚田 和明; et al.
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 320(3), p.633 - 642, 2019/06
被引用回数:1 パーセンタイル:11.15(Chemistry, Analytical)等温ガスクロマトグラフ(IGC)装置を開発し、オンライン気相研究に向けた動作試験をおこなった。核反応によって合成した5族遷移金属ニオブおよびタンタルの短寿命同位体をガスジェット気流によってIGC装置へ直接搬送し、反応ガスとしてSOClを用いてオキシ塩化物を生成する。このときのNbOClおよびTaOClの生成条件並びに搬送条件を調べたところ、半減期()が約30秒の核種について全体の効率が7%であると見込むことができた。したがって、本IGC装置はDb(=34秒)適用可能であることがわかった。
Chiera, N. M.; 佐藤 哲也; 富塚 知博; 浅井 雅人; 鈴木 颯人*; 床井 健運; 豊嶋 厚史; 塚田 和明; 永目 諭一郎
Inorganica Chimica Acta, 486, p.361 - 366, 2019/02
被引用回数:3 パーセンタイル:18.6(Chemistry, Inorganic & Nuclear)トレーサー量のNbOClおよびTaOClの生成とその石英表面における吸着挙動を、等温ガスクロマトグラフ法を用いて調べた。吸着-脱離モデルをもとにしたモンテカルロ・シミュレーションにより、それぞれについて求められた吸着エンタルピー()は、-(NbOCl) = 102 4 kJ/molおよび-(TaOCl) = 128 5 kJ/molだった。得られた値は、それぞれの化合物の昇華エンタルピーから経験的に予想される値と非常によく一致した。これにより、金属オキシ塩化物についてと間に知られている経験式を更新することができた。さらに、NbおよびTaオキシ塩化物のから外挿してDbOClについて予想された(DbOCl)から、(DbOCl)は135 2 kJ/molと予想された。本結果を元に、今後同一実験条件下でDbOClの吸着挙動研究をおこない、5族元素の揮発性について議論することができるとともに、その結果から、ドブニウムにおける相対論効果の影響について見積もることが可能となる。
小嶋 拓治
放射線, 29(2), p.77 - 85, 2003/04
微細フィルタや活性炭による除去,高温下の触媒を用いた分解などの従来技術では困難である、排煙や廃水に極微量含まれる環境汚染物質の浄化には、放射線を利用した環境保全技術が有用である。ここでは、石炭燃焼火力発電所排煙からのNOやSOの除去(脱硝脱硫),焼却炉からの排出ガス中のダイオキシンの分解,換気ガス中の有害揮発性有機化合物,農業廃棄物の再利用などへの放射線の応用の例を紹介する。
箱田 照幸; 橋本 昭司; 小嶋 拓治
Bulletin of the Chemical Society of Japan, 75(10), p.2177 - 2183, 2002/10
被引用回数:8 パーセンタイル:37.18(Chemistry, Multidisciplinary)電子ビームによる排ガス中クロロエチレン(TCE)の分解処理技術の開発に関する研究の一環として、異なる濃度の酸素や水分を含む空気中の、5~75ppmvのTCEに電子ビーム照射を行い、その分解について調べた。その結果、水分及び酸素濃度がぞれぞれ300及び5000ppmv以上の条件で、TCEは効率よく分解することがわかった。この結果に基づいたTCEの連鎖分解機構を考察した。また、TCE及び分解生成物の無害化に関して、電子ビーム照射による分解とアルカリ水溶液による分解生成物の加水分解の組み合わせにより、低吸収線量でTCE及び分解生成物を無害化できることがわかった。
小嶋 拓治
JETI, 50(13), p.17 - 21, 2002/10
電子ビームを利用して原研で行った、大気中の揮発性有機化合物の分解除去研究及びダイオキシン分解技術開発の成果を紹介するとともに、放射線以外の除去/分解技術との比較,電子ビームの説明、及び電子ビームによる分解機構などについて解説した。ここで紹介した原研の成果は、以下である。(1)塩化エチレンなどエチレン系化合物では、数kGyで指数関数的に分解し濃度減少することがわかった。また、最初の分解で生じた塩素ラジカルを引金とする連鎖が起こり、CO及びCOといった無機物にまで完全に分解出来ることを明らかにした。さらにアルカリ溶液処理と組み合わせることにより、低線量でも効率よく完全無害化できた。(2)芳香族化合物については、エチレン系とは異なり、いずれも吸収線量に対して直線的な濃度減少を示し、分解率はやや低く、粒子状物質(エアロゾル)を生じることを明らかにした。(3)実排煙に300keVの低エネルギー電子ビームを照射して行ったごみ燃焼排煙中ダイオキシンの分解試験の結果、14kGy以上で90%以上の分解率が達成できた。また、分解生成物の安全性も確認した。
須永 博美
電気学会技術報告, (895), p.61 - 62, 2002/09
パルスパワーによる放電や定常ビーム電子線を用いて石炭や石油等の燃焼排煙の脱硫,脱硝処理を行う技術に関する調査報告である。パルスパワーを用いる研究は1980年代後半から進められ、これはパルスストリーマ放電,無声放電,コロナ放電等により発生するプラズマを用いて処理を行う方法である。この放電源にパルスパワーが適用される。最近の研究では印加電圧40kV,放電電流170A,半値幅80nsという極短パルスで、発電所の石炭燃焼実ガス処理を試みた例があり、ここではエネルギー効率を向上させることにより低コスト化を目指している。一方、この排煙処理に定常ビームの電子線を利用する研究は1970年代前半から開始され、現在は実用規模試験を実施する段階になっている。この電子線法についてのこれまでの研究経過,反応メカニズム,さらに揮発性有機物やダイオキシンの処理に取り組んでいる最近の研究動向等についても述べる。
小嶋 拓治
エネルギーレビュー, 22(4), p.27 - 29, 2002/04
日本原子力研究所では、火力発電所からの排煙に含まれる硫黄酸化物及び窒素酸化物,工場の換気ガス中の有害揮発性有機物,ごみ焼却施設からの排煙中に含まれるダイオキシンなどの極微量の汚染物質を電子ビームの特長を活かして分解・除去する技術の開発を行っている。火力発電所から出る排煙の処理技術については、すでに実用化が進み、国内のみならず外国においてもその技術が活用されつつある。揮発性有機化合物については、分解挙動や粒状物質の生成などの現象を明らかにしており、実用化を目指した開発が進められている。ごみ燃焼排煙中のダイオキシンの分解に関しては、実ガスを用いた試験の結果、目的であった90%以上の分解率を達成した。このように、特に環境への拡散が防止しにくい排ガス中の汚染汚染物質に対する電子ビーム処理技術は、地上からの有害物質の削減に寄与するものとして、さらなる技術開発が期待される。
廣田 耕一
放射線と産業, (92), p.76 - 79, 2001/12
「第10回空気汚染に関する国際会議(Air Pollution 2001)」がイタリアマルケ州アンコナにおいて行われた。本稿では、各国における空気汚染の現状や対策などの紹介とともに、日本原子力研究所で行った電子ビームによる揮発性有機化合物処理に関する研究の概要を記した。電子ビーム照射した芳香族及び脂肪族化合物の分解生成物や反応に関与する活性種についての解析結果と現在行っているダイオキシン類分解試験で得られた成果について発表した。
箱田 照幸; 新井 英彦; 橋本 昭司
Journal of Chemical Engineering of Japan, 34(10), p.1300 - 1308, 2001/10
被引用回数:2 パーセンタイル:25.13(Engineering, Chemical)大気圧下の微量成分含有空気をキャピラリーチューブによりサンプリングし、微量成分を測定できる質量分析計の開発を行った。微量成分が空気成分と異なる質量数を有する場合には、本分析計により幾つかの微量成分を同時に、かつ連続的に測定できる。また二酸化硫黄、ベンゼン等の校正ガスを用いて、本装置の諸条件での性能評価を行った。また、空気中に含まれたトリクロロエチレンに電子ビーム照射したガスに、本装置を適用し、ジクロロ塩化アセチル、塩化カルボニル、塩素等の連続測定を行った。得られた結果から、10ppmvのトリクロロエチレンを完全酸化分解するためには、15kGyの吸収線量が必要であることがわかった。また照射ガスをアルカリ水溶液との反応することにより、完全酸化分解に必要な吸収線量が7kGyに低減できることを見いだした。さらにトリクロロエチレンの分解機構及び塩化カルボニルの生成機構を考察した。
Sun, Y.*; 箱田 照幸; Chmielewski, A. G.*; 橋本 昭司; Zimek, Z.*; Bulka, S.*; Ostapczuk, A.*; Nichipor, H.*
Radiation Physics and Chemistry, 62(4), p.353 - 360, 2001/10
被引用回数:22 パーセンタイル:81.38(Chemistry, Physical)揮発性有機物の電子ビームによる酸化分解に関する研究の一環として、水分含有空気中に含まれた1,1-ジクロロエチレン(DCE)に電子ビーム照射を行い、分解率及び分解生成物の定量を行った。また、得られた結果をもとにコンピュータ反応プロセスシュミレーションを行い、分解機構の考察を行った。
箱田 照幸; 廣田 耕一; 橋本 昭司
Proceedings of 5th International Symposium & Exhibition on Environmental Contamination in Central & Eastern Europe (CD-ROM), 7 Pages, 2001/09
トリクロロエチレン(TCE)汚染ガスの電子ビームによる無害化技術の基礎的データを得るために、異なる水分濃度(0.3~1%)の空気に含まれた初期濃度5~55ppmのTCEに電子ビーム照射し、分解効率及び生成物について調べた。また生成した二酸化炭素濃度から、TCE及び生成物を完全に酸化分解するために必要な吸収線量を求めた。その結果、上記の初期濃度いずれの場合にも、0.8kGyで95%の分解効率が得られた。またジクロロ塩化アセチル、ホスゲン、二酸化炭素及び塩化水素あるいは塩素が生成していることがわかった。これらの生成物を完全に酸化分解するためには、5及び10ppmVの場合で12及び15kGyが必要であった。また照射ガスをアルカリ水溶液に通ずることにより生成物をガス相から完全に除去でき、かつ一部の生成物は水溶液中で加水分解により無害化できることが明らかとなった。乾燥空気中でも行った同様の実験から、分解機構について考察を行った。
箱田 照幸; Zhang, G.*; 橋本 昭司
Radiation Physics and Chemistry, 62(2-3), p.243 - 252, 2001/09
被引用回数:13 パーセンタイル:66.91(Chemistry, Physical)これまでの一連の研究から、空気中に含まれるクロロエテンは電子ビームにより、おもにClラジカルを介した連鎖反応により分解することが明らかになった。本研究では対象物質を1.2-ジクロロエチレンとし、分解効率や生成物を測定することによりトランス及びシス体の異性体構造や異なる初期濃度における連鎖分解機構の違いについて調べた。その結果、シス体ではOHラジカルにより連鎖分解反応が開始され、その結果生じたClラジカルによりおもに分解反応が進むのに対し、トランス体ではOHラジカルだけでなくオゾンも連鎖分解反応を開始することがわかった。またトランス-1.2-ジクロロエチレンとオゾルの濃度減少速度から、実験的に反応速度定数を求めた。さらに初期濃度300及び600ppmVのトランス体について、各初期濃度でのOHラジカル及びオゾンによる連鎖分解反応における連鎖長をそれぞれ求めた。
日高 昭秀; 中村 武彦; 工藤 保; 林田 烈*; 中村 仁一; 大友 隆; 上塚 寛
JAERI-Conf 2000-015, p.193 - 200, 2000/11
日本原子力研究所では、シビアアクシデント条件下の照射済燃料からの放射性物質の放出挙動を調べるため、VEGA計画を進めている。同計画では、これまでの類似実験では得られていなかった、3000の高温条件及び加圧雰囲気(1.0MPa)下における照射済燃料からの中・難揮発性FPや超ウラン元素の放出挙動を調べる予定である。特に、雰囲気圧力の影響を調べる試験は世界で初めてであり、本試験の最大の特徴と言える。第1回目のVEGA-1実験の前に、非放射性で揮発性のCsI粉末を装置内で蒸発させ、装置の基本性能を確認するための実験を行った。その結果、エアロゾルフィルターの捕集効率は約98%であること、設計通りにフィルターの下流側に到達するCsIエアロゾル量は微量であること、しかしながら、わずかに形成されたIガスはフィルターを通過し、コンデンサー前の低温配管へ凝縮することを明らかにした。
高野 秀機; 滝塚 貴和; 北野 照明*
JAERI-Review 2000-014, 134 Pages, 2000/10
ADSにおける液体ターゲット及びブランケット冷却材の第1候補は、液体金属鉛・ビスマスである。Pb-Biの使用に関するメリットは、不活性、低吸収断面積、低融点、高沸点及びボイド反応度が負であることであるが、反面鋼材腐食が顕著であるという重要な欠点がある。本調査検討では、国内外のPb-Biの使用実績のある施設を調査し、材料腐食、水反応、伝熱・流動特性、化学毒性、ポロニウム揮発率、Biの資源量など広範囲に渡って調査した。その主な結果は、(1)国内の精錬所での長期間の使用実績があり、自然対流下では腐食は小さい。(2)ロシアでの開発実績及び使用経験により酸化被膜調整により腐食の問題は解決可能である。(3)高温Pb-Biと水との反応実験であり相互作用は小さい。(4)PoはPbPoを形成し、Po単体より揮発率は数桁小さい。(5)Bi資源量はADS使用には十分である。
橋本 昭司; 新井 英彦
電気学会技術報告, (810), p.46 - 50, 2000/10
本報告書は、電子ビーム照射による(1)燃焼排煙中のSO及びNO除去、(2)都市ごみ燃焼排煙の処理及び(3)揮発性有機物を含む排ガス処理技術の研究開発の現状及び今後の展望についてまとめた。即ち、(1)に関しては、現在中国で実用試験が進められており、また中部電力において本技術を採用したプラントが建設中である。(2)に関しては、松戸市焼却施設で実用試験が実施された。(3)に関しては、トリクロロエチレンなどを除去する研究が原研及び世界各地で進められている。今後、本技術はダイオキシンをはじめとする環境ホルモンの分解処理への発展が期待される。
岡村 信生; 米澤 重晃
JNC TN9400 2000-034, 48 Pages, 2000/03
現在、FBR(Fast Breeder Reacotr)の実用化を目指した研究開発が進められており、社会に受け入れられる核燃料サイクルを構築するために幅広い技術を対象に調査・研究が行われている。再処理に関しては、以前は使用済燃料からUとPuを効率よく取り出すことが課せられた唯一の課題であったが、現在、核燃料サイクルシステムを構築する上で再処理に求められる事項は多岐にわたり、それらの要求へ十分に答えていく必要に迫られている。再処理技術の幅広い検討の一環として、LWR(Light Water Reactor)とは異なりFBRでは低除染の燃料が許容されることから湿式再処理のみではなく乾式再処理の研究が始まり、溶融塩や液体金属を用いた電解・抽出、元素間の蒸気圧差を利用した揮発・凝縮等の様々な手法を組み合わせたプロセスが提案されている。乾式再処理は湿式再処理ほど実証プラントの経験が多くないため、工学規模のプラントを考える上ではプロセスフロー等に未だ多くの検討余地がある。そこで乾式再処理システムの設計を行う上で最も基本となる物質収支を解析・評価する時には、工程の追加等の変更に対して柔軟に対応する必要がある。本研究は、この要求を満たす乾式再処理の物質収支評価コードを開発することを目的としている。
日高 昭秀; 中村 武彦; 工藤 保
原子力eye, 46(3), p.79 - 83, 2000/03
原研では、放射性物質の放出機構解明とソースタームの予測精度向上のため、シビアアクシデント条件下の照射済燃料からの放射性物質放出挙動を調べるVEGA計画を開始した。同計画では、これまでの類似実験では得られていなかった、3000及び10気圧下における中・難揮発性FPやアクチニドの放出挙動をおもに調べる予定である。また、事前に試験燃料を再照射して短半減期FPを再生させてその放出挙動を調べたり、燃焼度や酸化・還元雰囲気の影響及びMOX燃料からの放射性物質の放出挙動についても調べる。VEGA実験装置は燃料試験施設内に設置され、平成11年2月に完成した。同年9月には、最高温度2500、不活性雰囲気、大気圧下における照射済PWR燃料からの放射性物質の放出挙動を調べる第1回目のVEGA-1実験が成功裡に終了した。本解説では、VEGA計画の概要及びVEGA-1実験結果の速報値について述べる。
箱田 照幸; Zhang, G.; 橋本 昭司
JAERI-Conf 2000-001, p.211 - 214, 2000/03
電子ビームを用いた排ガス処理技術の確立の可能性を検討するために、テトラクロロエチレン(PCE)やトリクロロエチレン(TCE)などに代表されるクロロエテン類の電子ビームによる分解を試みた。その結果、初期濃度300ppmVでの分解のG値は、PCETCEトランス-ジクロロエチレンシス-ジクロロエチレンモノクロロエチレンの順に小さくなることがわかった。またPCE及びTECでは、トリ及びジクロロ塩化アセチル、ホスゲン、二酸化炭素及び一酸化炭素がそれぞれ生成していることがわかった。さらに分解のG値に与える初期濃度の影響について調べた結果、TCEでは分解のG値は初期濃度の増加に伴って直線的に増加するのに対し、PCEでは単調増加するものの初期濃度が大きくなるにつれG値の増加率が小さくなることがわかった。これらの結果から、PCE及びTCEの分解機構について考察を行った。
橋本 昭司; 箱田 照幸; 広田 耕一; 新井 英彦
Radiation Physics and Chemistry, 57(3-6), p.485 - 488, 2000/03
被引用回数:26 パーセンタイル:82.67(Chemistry, Physical)種々の工業プロセスから環境中に放出される有機物は環境汚染の観点から問題となっている。原研では揮発性有機物を含むガスに放射線照射して分解する技術の開発研究を行っている。本研究ではベンゼンやトルエン等の芳香族化合物並びにトリクロルエチレンやテトラクロルエチレン等のクロルエテンへの放射線照射効果を調べた。その結果、芳香族化合物では分解のG値が1~2であり、濃度減少分の30~60%がエアロゾルに変換されることを明らかにした。一方、クロルエテンの場合では、エアロゾルはほとんど生成しなかったが、分解のG値は芳香族化合物の数十から百倍も大きく、その値は処理濃度が高いほど大きくなった。